Digital Commerce 360 2018/12/6 7:00

多くの消費者が、今すぐに買いたい商品の検索をモバイルデバイスで行っています。グーグルによると、過去2年間で「near me」(編注:日本語だと「近くの」といったワード)検索は5倍以上に増え、特定の場所に関連のある情報をモバイルユーザーに提供することの重要性がより明確になってきています。

アマゾンが欲しる武器を、あなたたちは持っている

SalesforceとPublicis Sapientの調査によると、現在、消費者の87%はまずオンラインで商品検索を行います。にも関わらず、2017年は全米で5兆ドルあった小売売り上げのうち、ECが占める割合はたった13%でした。

実店舗を持つ小売事業者のほとんどは、アマゾンを打ち負かそうと努力していますが、実は彼らは、アマゾンがもっとも欲しがっている武器を活用できていません。

その武器とは物理的な店舗です。アマゾンがホールフーズを買収し、3,000もの無人店舗を実験的に展開しているのには理由があります。アマゾンは、ほとんどの消費者がネットで商品を検索するものの、実際は地元の実店舗での買い物を望んでいることを理解しているからです。

全米の小売業成長率4.4%のおよそ半分はECによるものですが、多くの小売事業者のEC成長率は1桁台にとどまっています。また、実店舗でより多くの売り上げが見込めるにもかかわらず、みすみす機会を見逃しているのです

編集部がある東京・神保町近辺で「近くの コンビニ」を検索した結果
編集部がある東京・神保町近辺で「近くの コンビニ」をグーグル検索した結果(※編集部追記)

「近くの」検索は過去2年で5倍に増加

今の時代、来店率を上げるには一般的な検索広告を出すだけでは十分ではありません。まずは、現代の消費者がモバイルデバイスでの検索から購入にいたるまでの流れを理解することが必要です。 多くの小売事業者はまだ理解していませんが、「Googleマイビジネス」を活用することで、より綿密でシステマチックに「近くの」検索を集客に利用できるようになります

グーグルによると、過去2年間で「近くの」検索は500%以上も増えました。「商品名 近くの」と検索された場合、消費者は自分がモバイルデバイスで検索した場所からもっとも近い店舗で「その商品を買いたい」と宣言しているようなものです。もしも実店舗に置いてあるその商品が検索に表示されないのなら、みすみす売り上げを逃したことになります

500% + growth in near me mobile searches that contain a variant of "can i buy" or "to buy" over the last two years.
グーグルによると過去2年間で「近くの」検索は500%以上も増えたという(※編集部追記、「Think with Google」から編集部がキャプチャ)

消費者のニーズに合ったコンテンツを提供できるかがポイント

コンテンツが多過ぎたり、少な過ぎたりすることもあるでしょう。私たちは今、多くのコンテンツに囲まれていますが、欲しい商品の情報を積極的に収集している消費者が求めているのは、購入決断が正しいかどうかを納得させてくれる情報です

「Googleマイビジネス」を利用すると消費者の検索クエリにコンテクストを追加できます。正しいコンテクストの中に、正しいコンテンツを入れることによって、消費者はすぐに決定を下すことができます。これこそが、消費者が求めていることなのです。

消費者はその時のニーズに対して、最適なソリューションを得るために検索の力を借りているのです。コンテンツを求めて検索された時にコンテクストも提供できれば、すぐに売り上げにつなげることが可能です

「近くの」検索を最大限に活用する

実店舗を持っているのにローカル検索の力に気付いていない小売事業者にとって、最初のステップは自社商品やサービスに関してどれくらいの検索があるのかを計測することです。計測されていないものは管理できないということを理解することが、初めの一歩です。そして、実際に消費者が積極的に検索をしている地域で、試験的なプログラムをスタートさせると良いでしょう。

考えてみてください。ほとんどの実店舗は、1990年代の店舗検索システムに毛が生えたような方法でオンライン情報を管理し、営業時間と地図情報だけのWebページしかないような状況です。これでは、多くの消費者にとって、非効率極まりないでしょう。

モバイルアプリや、レスポンシブデザイン、EC機能に関しては注目が寄せられていますが、すでに存在する実店舗の活用に関しては、それほど進化がありません。ビッグデータの時代、消費者は実店舗に実際に足を運ぶ前に、割引クーポンや在庫状況のチェック、来店予約、店舗への電話、チャットでの問い合わせ、クーポン利用など、あらゆることを試します。

オンラインで購入して店舗で受け取るサービスが、アマゾンプライムや翌日配送に勝るのはこの点です。簡潔に言えば、エンドツーエンドの理想的なカスタマージャーニーを考えることによって、実店舗は大きな競争力を手に入れることができるのです

「近くの」検索に注力することで手に入るもの

最新技術を取り入れ、デジタル施策に積極的で、より関連性の高いローカルデータを提供してる実店舗は、グーグルのアルゴリズムにも引っかかりやすくなり、結果的に検索結果の順位も上がります

検索結果の順位が自然に上がるには6か月ほどかかりますが、下記の恩恵はすぐに体感できます。

  • コンバージョン率が3倍〜5倍に増える
  • 100%新規の検索トラフィックが手に入る
  • 地元住民の検索が30%増加する
  • オンライン購入や店舗受け取りサービスの利用が3倍に増える
  • ROI 500%(6か月以内)

上記の数字以外に、多くの小売事業者がまだ気付いていない重要なポイントがあります。それは、マーケットシェアの大部分が、地元レベルでの戦いだということです。

ブランドの構築には、数百万ドルをかけた広告キャンペーンが有効かもしれませんが、実店舗の売上は、個々の店舗にかかっています。アクセンチュアによると、消費者がもっとも必要としているのは、在庫確認機能で、グーグルによると、モバイル検索した消費者のおよそ半数は、1日以内に来店するそうです。

オンラインで商品検索を行った消費者の87%が「店舗で購入したい」と考えている事実を見れば、500%も伸びている「近くの」検索を活用することは実店舗にとって最重要課題と言えるでしょう。最初に動く人たちが、もっとも大きなリターンを得られます。ローカル検索への理解がまだ低いうちに、手を打つのが良いでしょう。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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